HEROES 刀剣×浮世絵―武者たちの物語に行ってきた

浮世絵と刀剣の展覧会に行ってきた

兵庫県立美術館で開催されている浮世絵と刀剣の展覧会「THE HEROES 刀剣×浮世絵−武者たちの物語」に行ってきました。ボストン美術館に所蔵されているコレクションが多数展示されているので普段は見ることができないレアな品々が多く展示されていました。

浮世絵の面白い表現や色彩の美しさ、時代を経ても変わらない刀剣の魅力を堪能してきました!

ボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵−武者たちの物語」

浮世絵の多彩な表現

この展示会は「HEROES」というタイトルの通り、浮世絵の中でも「武者絵」に特化した展示会でした。武者絵とは、wikipedia曰く以下の通り。

武者絵(むしゃえ)とは、歴史・伝説・軍記物などに登場する英雄・豪傑・武将や、その合戦の場面を描いた絵のこと。特に江戸時代から明治時代に描かれた浮世絵の様式のひとつを指す事が多い。

ある物語(画題)に対して、図像の約束事や要素が書かれているものが武者絵のようです。義経の前に立ちはだかる七つ道具を持った武蔵坊弁慶、上杉謙信と対峙する軍配団扇を持った武田信玄などでしょうか。

武者絵には物語があり、それを如何に伝えるかが絵師の腕の見せ所。そしてその表現方法の面白さと多彩さに驚かされました!特に気に入ったものを紹介します。

  • 月岡芳年 | 藤原保昌月下弄笛図

幕末~明治時代に活動した月岡 芳年(つきおか よしとし)の作品です。登場人物たちの緊張感と対比する背景の静けさ。一瞬なのか果てしなく時間が経っているのか。。非常にカッコイイ作品です。

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刀剣ワールド/浮世絵

  • 歌川国芳 | 清盛入道布引滝遊覧悪源太義平霊討難波次郎

幕末に活動した歌川国芳(うたがわ くによし)の作品です。歌川派の絵師で、かの有名な歌川広重と同じ派閥で同時代に活動している。ちなみにさきほど紹介した月岡芳年も歌川派で、歌川国芳の弟子。

悪役のわかりやすさ(笑) 火や雷で攻撃するという現代漫画にあるような表現が面白い。これが江戸時代の絵師の発想力だから非常に驚きました。

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文化遺産オンライン

昔は鮮やかな浮世絵と武士たちが活躍する物語を聞いて、子どもたちは自分の理想像を作り上げていたのでしょうか。 🦸

刀剣の変わらない美しさ

数多くの刀が展示されていたのですが、驚いたのはほとんどの刀剣の刀身部分はまったく錆びていない!展示されている中で最古の刀は古墳時代(6世紀)のもので、こちらは錆びや欠けがありましたが、平安時代(11世紀)以降の刀は作製当時の美しさをそのまま残していました。

そして、面白いと思ったのが、刀を切り詰めて全体の長さを短くする「磨上げ(すりあげ)」。刀は手入れをすれば非常に長く使えるため、受け継いだ刀は使用者の使い方に合わせて刀の長さを変えてしまうのです。まさか、刀がサステナビリティなものだとは。。

参考 - 刀剣ワールド

職人の腕の素晴らしさと良いものを長く使う文化。日本のモノづくりの原点を刀に垣間見た気がします。

まとめ

日本の文化を見つめ直すことで、普段の生活への接点を感じられる良い展示会でした。西洋絵画は写実的な美しさがありますが、浮世絵には表現方法の多彩さがある。ここに日本人の創作力を感じました。

(機械系メーカーに勤めているため無理やり繋げますが)モノづくりに関しては近年海外に負けているのが実情。しかも、刀よりもはるかに寿命の短い使い捨ての製品を薄利多売で作り続けている。昔の日本人とは対極的なモノづくりをしてはいないだろうか。。